荒武賢一朗・野本禎司編『仙台藩の組織と政策』を刊行しました。

本書は、2022・23年度東北アジア研究センター共同研究「仙台藩における支配機構と政策決定の総合的研究」の成果をまとめた論文集です。2022年2月に刊行した野本禎司・藤方博之編『仙台藩の武家屋敷と政治空間』につづき、仙台藩の武家社会にかかわる最新の成果を岩田書院から刊行いたしました。
上廣歴史資料学研究部門で歴史資料保全活動に取り組んできた編者2名と、新たに加わった執筆者5名による計7本の個別論文を掲載しています。また、総論には「仙台藩の武家社会研究」と題して、これまでの仙台藩の研究、および全国的に進められつつある「大名家」「藩」の概要をまとめました。本書刊行の基盤には、部門が宮城県内の歴史資料について継続的調査を進め、その情報共有体制を整備してきた経緯があり、今後も「仙台藩」「伊達家」研究の深化に貢献できればと考えています。
具体的な内容では、仙台藩の官僚的組織による意思決定構造について、武家社会を規定する家格制や身分制など諸要素との関係のあり方に留意して、伊達家家臣や地域の有力者の家に残された古文書から新たな事実を明らかにし、その実態に迫った論考を収めました。日本近世史研究では、近年、大名家・藩の実証分析からその総合化を図る動向があります。本書がそうした成果と融合して、さらなる発展に寄与できればと念じております。
(野本禎司 開智国際大学教育学部准教授、元上廣歴史資料学研究部門助教)

・岩田書院ホームページ『仙台藩の組織と政策』紹介
http://www.iwata-shoin.co.jp/bookdata/ISBN978-4-86602-184-3.htm
(参考)野本禎司・藤方博之編『仙台藩の武家屋敷と政治空間』(岩田書院、2022年)
http://www.iwata-shoin.co.jp/bookdata/ISBN978-4-86602-135-5.htm