上廣歴史資料学研究部門は、公益財団法人上廣倫理財団の支援により、2012年4月1日に東北大学東北アジア研究センターに開設された寄付研究部門です。私たちは、これまで培ってきた歴史研究に関する学識や技能を活かし、歴史資料保全・地域との連携・学術研究を中核とした各種事業を展開しています。
主な調査と研究のプロジェクト
歴史資料の保全活動
古文書などの歴史資料を保全する活動に取り組んでいます。とくに、地域の旧家に伝来した江戸時代からの手紙や書類、20世紀になってから増えてくる写真や新聞・雑誌など、あらゆる文献資料を保存し、書かれている内容の分析をおこなっています。その成果は、歴史講演会や研究シンポジウム、論文集や調査報告書の出版といった形で公表してきました。
歴史資料学セミナー
歴史資料について関心を持つ、学生や社会人を対象として古文書講座とシンポジウムを開催しています。古文書講座では、「くずし字」で書かれている江戸時代の資料を解読できるスキルを身につけ、さらに歴史・文化の内容を深く理解できるような人材を育成しています。また、シンポジウムでは研究部門のスタッフや外部の専門研究者を招へいし、地域における歴史研究の重要性を発信してきました。2022年からはオンラインにて、
【これまでの実績:古文書講座】
- 学生対象:
東北大学夏季古文書講座、川北古文書学習会 - 社会人対象:
東北アジア研究センター春季古文書講座・秋季古文書歴史講座、岩出山古文書を読む会、白石古文書サークル、片平古文書会など多数 - 海外のくずし字ワークショップ:
アメリカ合衆国 シカゴ大学
ドイツ ハイデルベルク大学、ベルリン自由大学、ゲーテ大学(フランクフルト)
参考URL シカゴ大学くずし字解読グループ
ブログ https://lucian.uchicago.edu/blogs/kuzushiji/
歴史資料の積極的活用
私たちは歴史資料保全活動や、歴史資料学に関するセミナーを実施することによって、専門的な研究者、学生、そして市民が一体となり、歴史資料を大切に保存していく活動を推進しています。そのためには、「なぜ歴史資料が重要なのか?」という意義を説明する必要があります。人々が強い関心を持つ契機となるのは、「歴史の真実を明らかにする」ことや、「歴史の教訓に学ぶ」ことが何よりも重要です。ただ、「古い資料だから保存する」というのではなく、「貴重な資料から現代の私たちは多くを学ぶ」ということを意識して取り組みたいと考えています。