コラム:遺跡から誕生したマスコットキャラクター「せんこくん」!?(瀧本正志)

山元町歴史民俗資料館では「せんこくん」をイメージキャラクターとし、文化財行政の普及活動を展開しています。「せんこくん」から自己紹介をさせていただきます。

僕の名前は「せんこくん」。出生日(発見日)は平成27年(2015)5月26日だけど、本当は1400歳の男の子。同じ年齢の友達には聖徳太子くんもいるよ。
生まれたおうちは今から1400年ほど前に山元町高瀬の丘陵斜面に横穴を掘って作られたお墓で、おうちの名前は「合戦原遺跡38号横穴墓」と言うんだ(写真1)。おうちは部屋の広さが3.5畳、高さは1.7mのワンルームだけど、周りの斜面に作られた54の横穴のおうちでは最も大きいのがぼくの自慢だ。
僕を見つけてくれたきっかけは、今から10年前に地面が大きく揺れ、海から山のような波が押し寄せ、たくさんの人が亡くなり、おうちが流されてしまう悲しい出来事があったんだけど、その後に新たなおうちを建てるための土地を造る工事に先立って行った発掘調査でなんだ。
僕が生まれたのは、ご主人のおうちを作る時、おうちの奥の壁を先が尖った硬い道具でぼくや多くの仲間(人・鳥・器財など)を線状に刻んで誕生(線刻壁画)したんだけど、一度に誕生したわけではないようだ。でも、線刻壁画があるのは僕のうちだけなんだ。
おうちからは須恵器や土師器の焼物の外、飾りの付いた太刀や直刀などの武器、勾玉や切子玉などの装飾品が見つかり、大変な有力者だったことを発掘調査した人から教えてもらったんだ。
線刻壁画の僕のおうちは、日本で初めて解体されて山元町歴史民俗資料館内に移築されたので、いつでも僕たちに会うことができるよ(写真2)。

当館は東日本大震災後、平成30年(2018)11月にリニューアルオープンし、「せんこくん」は令和元年(2019)から山元町歴史PR係を担当しています。当町の歴史・文化財を広く知ってもらうきっかけになることを期待しております。(山元町教育委員会)

 

 

 

 

 

 

写真1 合戦原遺跡38号横穴墓(せんこくん生誕地)

 

 

 

 

 

 

写真2 移設された合戦原遺跡38号横穴墓

◎参考URL
山元町歴史民俗資料館
https://www.town.yamamoto.miyagi.jp/soshiki/35/14302.html
山元町歴史民俗資料館イメージキャラクター「せんこくん」
https://www.town.yamamoto.miyagi.jp/soshiki/20/10067.html