コラム:コロナ禍におけるシカゴ大学生の日本史研究事情

去年の夏、東北大学東北アジア研究センターで短期遊学した、シカゴ大学歴史学部のマーク・チェンと申します。学士課程の卒業論文は明治初期の化学教育史について執筆し、そのほか明治期の売春史や衛生管理史を勉強したこともあります。10月からケンブリッジ大学東アジア学大学院に進学する予定で、将来日本の近代科学史と社会史を勉強したいと思っています。
今年のコロナ禍によって、シカゴ大学は日本の諸大学と同じように、4月上旬より授業がオンラインに移り、学校の図書館も一旦閉館しました。文書の電子化が進む西洋史や現代世界史を研究する方々と違って、利用資料が主に図書館の印刷本である日本史を研究する私達には図書館の閉館はたいへん問題となりました。一時日本からの郵便も停止されており、普段国会図書館に頼る複写サービスも利用できなくなりました。外国人に向けた入国制限で日本に実地資料調査することも勿論できませんでした。私の場合は幸い、コロナウイルスがアメリカに伝染拡大する前に、卒業論文とほかの研究プロジェクトの資料収集を終えていたので、自宅で外出自粛をしていた期間に主に資料の整理と分析を進めて、最後に卒業論文とセミナーペーパーを仕上げました。日本史を勉強する先生や大学院生達は、自分が既に持っている資料や国会図書館、国立公文書館、またはCiNiiのオンラインコレクションを主に利用して研究を進めていると思います。近頃、大学の図書館も隔遠複写サービスを提供しはじめており、コロナ長期化の中で研究手段を模索していると思います。
例年、東北大学東北アジア研究センターの先生が6月中旬にシカゴ大学で古文書・くずし字のワークショップを開催するはずですが、今年はコロナのせいで残念ながら無理でした。しかし、勉強を中止する事ではございません。6月下旬よりシカゴ大学の日本史と日本芸術史を研究する先生と学生達はZoomを通じて週に2回の勉強会を行っております。最近コロナウイルスのテーマに応じて、江戸後期に流行するコロリに関する文書も読んでいます。くずし字の文書を読んで歴史を学ぶことで、時代を超える疫病への不安や治療への希望を感じることができました。(マーク・チェン シカゴ大学歴史学部)

 

 

 

 

 

 

シカゴ大学でのくずし字解読ワークショップ(2019年6月、左端が筆者)