報告:須賀川市立博物館で古文書集中調査を実施しました。

当部門では、2019年8月から月1回のペースで須賀川市立博物館を訪問し、同館保管の古文書の調査・整理作業を学芸員の方と共同にて実施しています。
このたびは同市歴史民俗資料館のご協力も得て、同館保管の古文書の集中調査を、2020年3月19~21日の3日間にわたって実施いたしました。この集中調査は若手研究者の調査実践の場としても考えており、今回は東北大学に加え、明治大学、法政大学、一橋大学の大学院生を中心に計5名の参加をいただきました。古文書を中性紙封筒に収め、デジタルカメラで撮影することが中心となりましたが、一つ一つの作業を丁寧に取り組んでくれました。地道な作業の繰り返しではあるものの、歴史資料保全における重要な活動の一つであり、短期間集中して取り組むことで、そのノウハウを習得する機会となりました。また、博物館での調査後には古文書撮影や目録作成に関する報告会を実施し、実践だけでなく調査方法の現在のあり方についても紹介しました。現在は研究環境が整い、古文書調査に参加する機会が減ってきたという話も耳にします。今回、須賀川市両館のご理解をいただき、このような調査を実施することができたことに感謝するとともに、参加者の方にはこの経験が今後の研究活動や歴史資料保全活動に対する意識を高める機会となっていればうれしいです。(野本禎司)

◇◇◇ 古文書集中調査参加記 ◇◇◇
調査の初日、市博物館の会議室に到着すると、四つのテーブルの上に三脚が立っていた。下向きに取り付けられたカメラにはレリーズが接続。長時間、古文書が撮影できるよう、座りながら画面を見てシャッターを切れるようにしてある。
文書の形態に応じた撮影のポイントなどについて説明を受け、早速、作業へ。初めての経験だけに、封筒から文書を取り出すだけで緊張する。当初は一枚ものの撮影が続き、順調だったが、やがて冊子や巻物が登場。これらは紙が浮き上がりやすく、磁石で固定していくため時間がかかる。さらに、酒の売上帳などの分厚い冊子は、不慣れということもあり、1時間近くかかる。撮影では精密さと迅速さ、双方が求められるのだ。
単調に見えるが飽きることはない。文書は、馬の頭数や田畑の規模といった記録から、伝統芸能や寺社に関する資料、現在の裁判記録に相当するものまで幅広い。文書を通じて、江戸期の農村の営みが、具体的にイメージできるのは楽しい。一方で、古文書学習の入門の段階にある自分としては、分からない字が多く、いかに力が不足しているかを痛感できる機会ともなった。(高橋昌宏 東北大学大学院修士課程)