技術補佐員として活動中(新任・鈴木)
はじめまして。本年度より技術補佐員として活動しております、鈴木詩織と申します。現在、名取市市史編さん室にて市史編さん専門員として勤務しながら、週1日程度、当部門の活動にも参加させていただいております。
昨年度までは、東北大学大学院文学研究科の修士課程に在籍し、日本近世史を専攻しておりました。また、学部生時代には文化情報学を専攻しており、その当時から近世・近代文書の調査・整理・活用について、継続して学んできました。その経験の中で、地元の宮城にて古文書の調査をしたい、という思いが芽生え、東北大学大学院へ進学し、また現在も、名取市史編さん室にて資料調査を行っております。
私が大学で研究していたテーマは、仙台藩の領民褒賞についてです。江戸時代、幕府や諸藩は、忠孝貞節な者らに対し、金銭や木綿などの褒美を与えて褒賞していました。その背景には、領民に模範となる人物像を提示する意図があった、と考えられています。寛政元年(1789)には、幕府から全国の諸大名らに対し、褒賞者書上の提出が命じられ、享和元年(1801)、『官刻孝義録』という全国の孝義者をまとめた本が刊行されました。このような孝子伝編纂は全国各地でも行われており、仙台藩においては、第13代藩主伊達慶邦の命により、嘉永3年(1850)に『仙台孝義録(封内孝義録)』が作成されています。
このような、過去の事績を振り返って手本とし、自らの在り方や現代を見つめ直すということは、歴史学においても重要な視点であると考えています。これからも、当部門での活動や名取市史編さん事業の中で様々な歴史資料に触れながら、人々の営みや地域の歩みに光を当てるような活動に取り組んでいきたいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。(鈴木詩織)
(写真2)『官刻孝義録』15、享和元年(1801)
※国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/2559280 (参照2025.6.10)