『白石片倉家中・佐藤家文書―宮城県蔵王町・近世在郷武士の記録を読む―』を刊行しました(荒武賢一朗)
部門では、宮城県内各地のみなさんと連携しながら、仙台藩における武家文書の調査・研究を進めています。そのなかで東北アジア研究センター叢書第75号として、荒武賢一朗・白石古文書の会編『白石片倉家中・佐藤家文書―宮城県蔵王町・近世在郷武士の記録を読む―』(2024年1月15日発行)を出版しました。
江戸時代の仙台藩領には、最大で20万人といわれる武士たちが存在していました。これは、領内総人口の20%以上を占めており、全国平均(6%)の4倍に相当する規模です。つまり、当時の4分の1程度は武士だったと想定できますが、その形態はさまざまで、伊達家(仙台藩)の直臣、その直臣のうち大身と呼ばれる重臣たちの家臣(伊達家からみて陪臣にあたる)などが上記の20万人に含まれました。
本書は、陸奥国刈田郡宮村内方(現・宮城県刈田郡蔵王町)の佐藤家に伝来する古文書105点を解読した成果です。この調査および解読には、白石古文書の会のみなさんが取り組まれ、仙台藩および片倉氏家臣団の研究に新しい1ページが加わりました。佐藤家は16世紀初頭に出羽国長井庄から当地へ移住したとされ、江戸時代には仙台藩の重臣・片倉氏(白石城主)に家臣として仕えました。今回の叢書は、在地に暮らす武士の特徴を9章に区分けし、戦国時代から幕末期に至る歴代当主の経歴や、職務・法令・文化などに関する記録を紹介しています。とりわけ、家系図は長期にわたる歴史を叙述し、読み物としても興味深い内容が書かれています。今後の研究にぜひ注目してください。
【関連URL】
東北大学機関リポジトリTOURより全文ダウンロードが可能です。
https://tohoku.repo.nii.ac.jp/records/2000578
本ウェブサイト
白石古文書の会の活動紹介(細田紀明)
https://uehiro-tohoku.net/works/2020/2544.html