開催報告:講座 地域の歴史を学ぶ◎加美(竹原万雄)

 12月10日、加美町中新田公民館にて、コーディネーターに野本禎司先生(開智国際大学)、講師にJ.F.モリス先生(宮城学院女子大学名誉教授)をお招きし、「講座:地域の歴史を学ぶ◎加美」を開催いたしました。
 演題は「「菜切谷村他三箇村絵図」の謎を読み解く-仙台藩4代大名綱村の時代への覗き穴-」でした。同絵図は本部門で整理した「加美町北家文書」に伝来したものです。北家は仙台藩士ですが、この絵図の宛先には同じく仙台藩士の但木土佐の名前がありました。なぜ但木土佐に宛てられた絵図が北家に伝わったのでしょう。
 その答えは、菜切谷村ほかの領地は始め但木土佐に与えられたのですが、翌年には北家のものへと変更されたことにありました。さらに、この領地変更の背景には側近を重職に任用する仙台藩4代大名綱村の人材登用策がありました。新しい政策を矢継ぎ早に打ち出す一方、命令に一貫性がなく朝令暮改であるなど「短慮」と評される綱村。「名君」か「迷君」か、評価が分かれる綱村政治の研究が深まって行くご講演でした。
 質疑応答では時間内におさまらず、講演終了後も講師への質問が続きました。地元の絵図から仙台藩政へとつながる魅力的なお話に、ご参加いただいた皆さまの好奇心が大いに刺激された印象を受けました。

◎「加美町北家文書」の目録は部門ホームページの「文書目録」の項目から、デジタル画像は東北大学東北アジア研究センター地域研究デジタルアーカイブからご覧いただけます。

 

 

 

 

 

 

(写真)講座:地域の歴史を学ぶ◎加美(2023年12月10日 於加美町中新田公民館)