『仙台藩宿老後藤家文書―由緒・職務・武芸―』を刊行しました(野本禎司)

2019年度から調査・研究を進めてきた仙台藩宿老後藤家文書に関して、このたび東北アジア研究センター叢書第72号『仙台藩宿老後藤家文書―由緒・職務・武芸―』(野本禎司、南郷古文書を読む会編著)としてその成果を刊行いたしました。本書には、仙台藩伊達家譜代の家臣として、戦国時代には多くの武功をあげ、織田信長や徳川家康とのエピソードをもつ後藤家の由緒、江戸時代中頃から「宿老(しゅくろう)」を代々つとめたその職務内容、藩主への伝授もつとめた鉄砲討方をはじめとした武芸に着目し、それらの資料翻刻を多く掲載し、Ⅰ論考編、Ⅱ資料翻刻編、Ⅲ文書目録の三編にまとめました。仙台藩研究において「宿老」はとくに未解明な部分が多く、後藤家文書はその解明に寄与するとともに、後藤家が知行地を与えられた不動堂要害(現宮城県美里町)周辺地域の歴史を明らかにできる内容が含まれています。
また、本書は部門から野本が講師をつとめ、美里町で活動する南郷古文書を読む会の方々と、2020年10月から毎月1回のペースで開催してきた「仙台藩宿老後藤家文書研究会」の成果でもあります。会員2名の方から後藤家の家の歴史に関わる内容を論考編に執筆いただきました。また、美里町指定文化財「後藤の朱槍」についての紹介文も掲載しております。後藤家文書は調査にも長い歴史があり、その経緯を佐藤憲一氏から巻頭に「刊行に寄せて」としてご寄稿いただきました。調査・出版に際しては所蔵者の後藤康方様からご高配を賜りました。この場を借りて、あらためて関係者の皆様に厚く御礼を申し上げます。

 

 

 

 

 

 

 

◎東北大学リポジトリTOURより全文ダウンロードできます。
http://doi.org/10.50974/00136694