コラム:「小野家文書一式」が町指定文化財登録に登録されました(髙橋義行)

利府町の古文書研究のみならず歴史研究を進めるうえで、とても嬉しいことがありました。令和4年3月30日、利府町教育委員会所蔵の「小野家文書一式」が利府町指定有形文化財に指定されました。これまで本町においては、考古資料(土器・瓦等)の指定はありましたが、古文書の指定は初となります。

「小野家文書一式」は、利府町加瀬に屋敷を構え、塩竈神社の神官を務めた小野家に由来する史料群1,043点です。小野家は江戸時代に神社領より宮城郡加瀬村、菅谷村(現利府町)、南宮村、八幡村(現多賀城市)の4か所に知行地を与えられていたことが知られています。小野家文書の内容は大きく分けて、①鹽竈神社および神官関係、②知行地の絵図などを含む小野家の経営文書、③江戸時代からの書籍、④近代の三陸会社・小野彦回漕店・東京湾汽船会社塩釜荷客扱所関係の書類からなり、神事の由来や内容の変化、神社内での政治的な動向を知ることができるものや、地域の社会状況を知ることができる多様な史料群です。これらは幕末期の当主であった小野敬久が多くの書籍やほかの社家が所蔵する古文書を多く筆写したことによるものです。領主であった小野家が伝えてきた独自の史料に加え、神官たちが共有してきた歴史も内包しており、本町の歴史と塩竈神社神官の結びつきを示す貴重な史料です。

「小野家文書」の調査研究のみならず郷土資料館の展示に際しては、東北大学東北アジア研究センター荒武教授に多大なる御指導・御協力を賜りました。この場をお借りしまして心より御礼申し上げます。

9月30日まで、利府町役場教育委員会前のフロアにおいて「町指定文化財登録記念展示~小野家文書展~」を開催しています。利府町役場にお越しの際は是非お立ち寄りください。(利府町教育委員会)

 

 

 

 

 

<展示に関する問い合わせ>
◎利府町教育委員会教育部生涯学習課文化振興・リフノス係
℡ 022-767-2197
https://www.town.rifu.miyagi.jp/gyosei/soshikikarasagasu/syougai/bunka/index.html

※小野家文書3点の画像を「上廣歴史資料学研究部門デジタルコレクション」にてご覧いただけます。
https://uehiro-tohoku.net/digital-collection