仙台藩の奉行職（家老）をつとめた伊達家重臣・大條（おおえだ）家に伝来した古文書調査の成果として、東北アジア研究センター叢書第70号『仙台藩奉行大條家文書―家・知行地・職務―』（野本禎司編著）を刊行いたしました。歴代当主の多くが奉行職に就任したことで、その昇進過程や職務内容の特徴、文化的教養などに関する記録類が残されています。本書では、これらの内容について基礎となる家・知行地・職務の観点から関連論考、資料翻刻にて紹介しました。
論考編では、大條家文書の概要解説、奉行就任前に勤める若老（若年寄）の職務日記、「客座録」（日本・西洋・中国絵画の模写図や風景図などの記録冊子）全20冊の内容のほか、知行地支配の拠点であった坂本要害（現宮城県山元町）の周囲に居住した大條家家臣の配置図や同町の大條家関連の歴史遺産について、4名の執筆者が紹介しています。
大條家文書は、山元町歴史民俗資料館（宮城県）に所蔵されており、NPO法人宮城歴史資料保全ネットワーク、当部門によって調査が進められ、本書にはその文書目録を収載しています。資料館では大條家文書の一部が展示されていますので、本書をご覧いただき、大條家の歴史遺産とともに現地を訪問いただければ幸いです。

◎東北大学リポジトリTOURより全文ダウンロードできます。
http://hdl.handle.net/10097/00134280

◎山元町歴史民俗資料館
https://www.town.yamamoto.miyagi.jp/soshiki/35/14302.html