11月27日:記念講演会「江戸時代の始まりと幕末・維新の岩出山」(荒武賢一朗)

大崎市誕生15周年・東北大学東北アジア研究センター上廣歴史資料学研究部門設立10周年の記念講演会を2021年11月27日(土曜)午後、宮城県・大崎市岩出山文化会館で開催いたしました。感染症対策による入場制限をおこない、事前予約制として200名のご参加をいただき、講演2本とパネルディスカッションを実施しました。
冒頭、岩出山大蔵流謡曲保存会による開会セレモニー、さらに大崎市の伊藤康志市長から開会のご挨拶を賜りました。大崎市岩出山の文化や、伊藤市長の地域を愛する心のこもったお言葉からスタートし、講演(1)遠藤ゆり子氏(淑徳大学教授)「戦国時代から江戸時代初期の岩出山」、(2)荒武賢一朗「戊辰戦争直後の岩出山―武士たちの足跡(そくせき)―」をおこないました。遠藤先生のご講演は、ご専門である戦国時代史から、当時の岩出山周辺でどのような政治的・軍事的動きがあったのかを詳細に論じたもので、わかりやすく江戸時代に入るまでの変化をお話しいただきました。一方、荒武は江戸時代における岩出山伊達家の家臣団を取り上げ、戊辰戦争に至る過程でその人数の変化を検討しました。
地域の歴史を読み解く際、ついつい興味深い古文書に見入ってしまい、結果としてはごく限られた時期のみを明らかにするという「タコツボ型研究」に陥りがちです。もちろん、それも重要なことですが、戦国から明治までの数百年を武士たちの動きに注目して、「歴史をつなぐ」意味を改めて感じました。
パネルディスカッションでは、岩出山の歴史研究に詳しい菊地優子氏(大崎市教育委員会)、江戸時代の武家研究を手掛ける野本禎司助教に加わっていただき、古文書から浮かび上がる武士の系譜、当時の人々が意識した事柄などを議論することができました。
最後に、大崎市教育委員会の熊野充利教育長より閉会のご挨拶があり、盛会のうちに幕が下りました。御多忙のなか、講師をご快諾くださった遠藤ゆり子先生、そして企画段階から当日の会場運営まで、大崎市教育委員会文化財課のみなさんには大変御世話になりました。末筆ながら厚く御礼を申し上げます。