須賀川市立博物館テーマ展「古文書からみた災害と須賀川」を開催しました(宮澤里奈)

須賀川市立博物館(以下当館)にて、2021年7月23日(土)から上廣歴史資料学研究部門(以下部門)と共同で開催したテーマ展「古文書からみた災害と須賀川」(協力:当館友の会・須賀川市古文書研究会)が9月5日(日)に無事閉幕しました。
当館では、2019年より部門の皆様にご協力いただき共同で館収蔵の古文書の再整理を進め、その研究成果展を2020年より開催しています。今回のテーマ展は、須賀川市域で過去に起きた風水害・疫病・飢饉などの災害についてふり返る企画展「乗り越える 災害と須賀川」との同時開催で、旧堀込村名主廣田家と旧滑川村庄屋桑名家の古文書などから水害や飢饉に関する資料に焦点を当てて紹介しました。とりわけ、滑川村についてはこれまで古文書の調査が進んでいなかったため、昨年のテーマ展から継続して取り組むことで村落史や災害史について前進できたと感じています。
江戸時代の須賀川市域は56の村があり、複数の支配領主が入り交じっていました。そのため、隣村で領主が異なる地域もあり水利や山林野の入会を巡る争論などを記録した古文書も多々あります。
会期中には、野本先生より展示中の廣田家と桑名家文書について講話をいただきました。堀込村は南北の村境に川が流れ、隣村の桙衝村と土地所有が入り組んでいたため水論が絶えず、また滑川村は阿武隈川に接した村で、村内一円にわたる洪水被害が度々発生するなど、各村によって水を巡る歴史環境や対策が異なるため、講話を通して、それぞれの地域の特性について多くの方に知っていただける機会となりました。(須賀川市立博物館)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(上)須賀川市立博物館テーマ展、(下)テーマ展講演会(2021年8月7日)のようす

PDF】別冊史の杜3号 → テーマ展のパンフレットとして利用しました。

◎参考:2020年度テーマ展「古文書からみた須賀川市域の江戸時代・村の暮らし」
https://uehiro-tohoku.net/works/2020/2305.html