コラム:古文書住まいの小さい者たち(竹内幸恵)
レスキューした古文書は劣化が進まないように適切な保存処置やクリーニング作業をします。その作業で出会った「いきもの」や「元いきもの」を紹介します。
これまでNPO法人宮城歴史資料保全ネットワークの活動でレスキューしてきた資料のクリーニング作業で色々な古文書住まいの小さい者たちに出会いました。ヤマトシミ、ヒメカツオブシムシ(成虫・幼虫)、ヒメマルカツオブシムシ(成虫・幼虫)、シバンムシの類、蜂類、蟻類、蜘蛛類など何だかわからない虫も多数。その大多数はミイラ化したものですが、たまに生きている者も出てきます。最初はいちいちびっくりしていましたが、その内に慣れてきて「おお!よく生きていたな!」と感動するようになりました。和本の表紙から裏表紙まで貫通した小さな丸い穴やレース状に食べられたスケスケになった書状に、大事な史料に何てことを!と思う反面、お見事!とも思ってしまいました。(虫の肩をもつわけではありませんが)
珍しいところでは小さなヘビの死がい、小動物の頭蓋骨、白骨化したネズミなども出てきました。写真はすぐにゴミ箱に入れることができず、しばらく作業場の片隅でプライベート展示していた様子です(2013年5月10日撮)。写真右端の小さなヘビは尻尾の先がなく、文書が入っていた箱を探しましたが見当たりませんでした。ネズミの寝床らしいフワフワの和紙の繊維の塊もありました。どういう経緯でそこで力尽きてしまったのか少し興味を覚えます。