「吾妻家文書」に関する展示会と講演会を開催しました。
2015年4月から当部門と岩出山古文書を読む会が共同で「吾妻家文書」の整理作業を行っていることは、かつてこのHPでも紹介いたしましたが、このほどその成果を展示会・講演会というかたちでみなさまにご披露する機会に恵まれました。
まず展示会についてですが、9月10日(土)から25日(日)にかけて大崎市岩出山の森民酒造店の昭和レトロ館をお借りして、「岩出山から当別へ 歴史の架け橋~吾妻家文書展~」(部門・古文書を読む会主催)を開催しております。選りすぐりの史料から、岩出山伊達家の北海道開拓移住の歩みが分かるような内容の展示となっておりますので、この機会に是非足をお運びいただきたく存じます。
この展示会に合わせるかたちで、本年の岩出山の「講座:地域の歴史を学ぶ」は、いつもより早く9月17日(土)に大崎市岩出山文化会館で開催いたしました。本年のテーマは「北の大地に渡った侍たち~北海道開拓と岩出山伊達家~」。冒頭、部門を代表して荒武准教授が挨拶した後、現吾妻家当主の高志氏に御登壇いただき、お言葉を頂戴いたしました。つづいて、北海道博物館学芸員の三浦泰之氏から「北海道開拓と士族移住」と題して御講演いただきました。北海道開拓の歴史の概略を踏まえたうえで、士族移住がそのなかにいかに位置づけられるのか、豊富な事例とともに解き明かされました。また、北海道に残る武家文書のなかに、北海道の歴史とは一見関係のない領知宛行状等の史料が含まれている意味について興味深い指摘がなされました。第二講演は友田助教による「岩出山伊達家の北海道移住と吾妻謙(ゆずる)」です。岩出山伊達家の北海道移住、その後の当別村の開拓において吾妻謙が果たした役割、さらには彼の北海道開拓にかける熱意を支えていたものについて、吾妻家文書をもとに考察するという内容でした。
当日は、宮城だけでなく、岩出山伊達家が入植した当別町(北海道石狩郡)からも多くの方が御来場くださり、総計250名の来場者に恵まれました。足をお運びくださったすべてのみなさまにこの場を借りて、厚く御礼申し上げます。今後も吾妻家文書の整理を進め、その成果を様々なかたちで岩出山や当別町に還元していきたいと考えております。
講演する三浦泰之氏
講演会場のようす(友田講演)