講演会「近代の戦争と宮城」を開催しました。

部門は仙台市歴史民俗資料館との共催で、2015年10月31日、仙台市戦災復興記念館にて講演会「近代の戦争と宮城」を開催致しました。戦後70年の節目を迎え、近代に起こった数々の戦争が地域に何をもたらしたのか、また、戦争によって地域の実態はどのように浮き彫りにされたのかを参加者の皆さんとともに考えたいということから企画されたものでした。冒頭、部門長の平川新氏(宮城学院女子大学学長)からの挨拶があり、続いて以下の講演が行われました。

  1. 友田昌宏(部門助教)「西南戦争と旧仙台藩士」
  2. 大谷正(専修大学文学部教授)「日清戦争に従軍した『東北新聞』記者桜田孝治郎―戦争情報はどのように仙台に伝えられたのか―」
  3. 佐藤雅也(仙台市歴史民俗資料館学芸室長)「誰が戦死者を祀るのか―近代仙台の慰霊と招魂―」

友田の講演は、西南戦争時、補充の兵員として臨時巡査の召募を行われる過程で、宮城県ではどのようなことが問題となったのか、臨時巡査として戦地に赴いた旧仙台藩士を支えていた戊辰戦争の雪辱の意識とはいかなるものだったのか、戦後、宮城に帰県した臨時巡査の動向が関心を集めるなか、どのような問題が議論されたのかについて考察をめぐらせました。大谷氏の講演は、仙台に駐屯する第二師団の日清戦争時の動向、当時のメディアのなかで地方紙の置かれた状況等を踏まえたうえで、『東北新聞』の記者として日清戦争に前後3回、戦地に従軍した桜田孝治郎の経歴と、彼が戦地で何を見てそれをどのように宮城に伝えたのかを紹介し、日清戦争時の報道のありかたについて論じました。佐藤氏の講演は、戊辰戦争から日露戦後あたりまでの慰霊の変化を追ったものでした。西南戦争後に旧仙台藩士と仙台鎮台によってはじめられた戊辰・西南両戦役の招魂祭が、やがて後者が前者を取り込むかたちで一本化され、さらには日清・日露戦争をへて、その内実が変化していく、一連の経緯が詳しく解説されました。
当日は、200名近くの方々に御参加にいただき会場に入りきれないほどの盛況ぶりで、なかには学生の方や東京からお越しの方もいらっしゃり、このテーマが幅広い層に関心があることをうかがわせました。

大谷講演のようす

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