「吾妻家文書」の整理作業を行っています。
2015年4月から、東北大学農学研究科教授の吾妻行雄氏の御依頼をうけて、部門助教の友田と岩出山古文書を読む会(会長菊地優子氏)の共同で、「吾妻家文書」の整理を行っております。同家は代々岩出山伊達家の家老を務めた由緒ある家柄で、とくに明治維新のときの当主吾妻謙(1844~1889)は、岩出山伊達家の北海道当別への開拓移住に中心的役割を果たした人物としてその名を知られています。文書の総点数は1万点以上。北海道移住後の近代文書はもとより、移住以前の岩出山にかかわる近世文書も数多く含まれており、岩出山と当別の歴史をつなぐ極めて貴重な史料群です。気の遠くなる数の史料を前にしながらも、そこは、歴戦の古文書を読む会の方々。時に難読文字に頭を悩ませながら、倦むことなく目録取りを続けられ、その士気の高さも手伝って、作業は順調に進んでいます。
10月4日(日)に開催された岩出山地区公民館まつりでは、これまで整理した古文書のなかから岩出山にかかわるものを中心に厳選して、整理作業の経過報告をかねた展示会「吾妻家文書整理速報展―北に渡った開拓者たち―」を行いました。岩出山地区公民館まつりへの古文書を読む会の出陳は今回で2度目ですが、前回の展示会を大幅に凌ぐ来場者に恵まれ(所蔵者の吾妻行雄氏も御来場くださいました)、里帰りした「吾妻家文書」の存在を地域の多くの方に知っていただくことができました。その様子は10月15日(木)の『大崎タイムス』紙上でも大きく取り上げられました。
また、10月9日(金)には、「吾妻家文書」の写真撮影作業をすすめるにあたって、東北大学災害科学国際研究所准教授の佐藤大介氏をはじめNPO法人宮城歴史資料保全ネットワークのスタッフの方々に、岩出山公民館までお出でいただき、「宮城方式」と呼ばれる古文書撮影技法の講習会が行われました。当日参加された古文書を読む会のみなさんは、一つ一つの作業行程をしっかりと覚え込もうと真剣そのものでした。
整理作業のようす(於色麻町立四釜色麻幼稚園)
撮影講習会のようす(於大崎市岩出山公民館)
『大崎タイムス』2015年10月15日の記事(「歴史ファンでにぎわう―岩出山吾妻家文書整理速報展―」)