コラム:三鷹まるごと博物館―エコミュージアムの取り組み(下原裕司)

東京都三鷹市では、市内の街並みを「まるごと」博物館に見立てる「三鷹まるごと博物館」の取り組みを進めています。この取り組みは、「しんぐるま」と呼ばれる江戸時代から続く水車(文化5(1808)年創設・大沢の里水車経営農家)の、市民参加による現地保存の取り組みが、1960年代後半にフランスで発祥された「エコミュージアム」(屋根のない博物館)の、日本における実践例として認知されるようになったことを契機として、市の基本計画に組み込まれ、全市的な展開として進められているものです。
古い農家や蔵、街角に残された小さな石仏(どこにでもありますね)、また見慣れたいつもの街並みさえも、それらがそこにあった「エピソード」があるはずです。文化財を建物の中に押し込めるのではなく、できれば本来あった場所で、地域の人によって守られているそのままの姿を観察し、さらにまだ文化財になっているわけでもないエコミュージアムの原石を、市民の手で探すことが、この活動の柱のひとつです。
そして私たちが現在見ている、ひとつの地域が、なぜどのように移り変わり、今の姿になっていったのか?という地域固有の歴史を考え、子どもたちに伝えることで、未来のまちづくりにも役立てようとするのが、「三鷹まるごと博物館」の考え方です。
現在は、「しんぐるま」のある大沢の里で、明治時代のわさび農家である「大沢の里古民家」の公開を行う一方、地域固有の歴史を市民とともに「ふかぼり」する活動を進めています。この活動はホームページ「三鷹まるごと博物館」(https://ecomuse.jp/)や三鷹エコミュージアム研究『みぃむ』(https://mitaka-e-book.actibookone.com/)などでweb上からもみることができます。
(東京都三鷹市スポーツと文化部生涯学習課)

 

 

 

 

 

三鷹まるごと博物館MAP

 

 

 

 

 

 

 

三鷹エコミュージアム研究『みぃむ』表紙