コラム:バチカン図書館に残る近世豊後のキリシタン統制の記録

マレガ・プロジェクトは、2011年にローマ教皇庁バチカン図書館で発見された、近世豊後国のキリシタン統制に関する膨大な資料を整理し、保存の手立てを講じたうえで目録・デジタル画像を公開し、同時に史料を収集したマリオ・マレガ神父やキリシタン統制についての基礎研究を進めるべく、人間文化研究機構・国文学研究資料館が中心となって2013年に結成されました(共同研究「バチカン図書館所蔵マリオ・マレガ収集文書の保存・公開に関する調査・研究」)。2013年10月に第1回の調査が行われ、以後、バチカン図書館で概要調査(取り上げ・封筒詰め・番号付与)と保存措置を行ったうえで、デジタル化されたデータをもとに詳細目録を作成し、2021年3月、国文学研究資料館のホームページで、全点の画像データベースを試験公開することができました(*1)。

バチカン図書館に伝来したマリオ・マレガ資料とは、1931年から戦後にかけて、大分・臼杵の教会で宣教・教育活動に従事したマリオ・マレガ神父が収集した資料です。神父としての活動の旁らで日本文化や日本キリスト教史の研究に取り組んだマレガ神父は、豊後国、とくに臼杵のキリシタン統制に関わる資料を収集し、『豊後切支丹史料』(1942)、『続豊後切支丹史料』(1947)を刊行しました。戦後、マレガ神父は収集した資料をバチカンに送ります。それが、今回発見された膨大な資料群です。

総数14,647点にのぼる資料の整理・公開を実現するうえでは、バチカン図書館の修復部門をはじめとする各部門の協力が欠かせませんでした。また、日本近世の歴史資料がこれだけ大量にバチカンに所在していることから、イタリアを中心に欧州の資料保存関係者と古文書修復のワークショップを実施し、ローマ大学やナポリ大学の日本研究の教員・学生たちと古文書解読や資料整理のワークショップを行うことができました。一貫して、日本・バチカン・イタリアの国際的協業で活動を行えたことは、プロジェクトの大きな財産だと思います。成果はインターネットで公開することを念頭において活動してきました。その一端は、国文学研究資料館のマレガ・プロジェクトのページや(*2)、国文学研究資料館のリポジトリで公開しています(*3)。また、本年度中に刊行を予定している論文集も、インターネットで公開する予定です。(三野行徳 国立歴史民俗博物館)

*1 マリオ・マレガ資料データベース https://base1.nijl.ac.jp/~marega/
*2 国文学研究資料館「マレガ・プロジェクト」 https://www.nijl.ac.jp/projects/marega/
*3 国文学研究資料館リポジトリ https://kokubunken.repo.nii.ac.jp/
※『紀要』アーカイブズ研究編の第12号と14号で特集を組んでいます。

 

 

 

 

「寛永12年 きりしたん宗門御改ニ付起請文前書之事」
マリオ・マレガ資料Marega A6.2.1.1.1