コラム:古文書撮影の秘密兵器 ― 大型絵図等の撮影方法

上廣歴史資料学研究部門の歴史資料保全活動の中心に資料撮影があります。デスクに座り安定した姿勢で長時間撮影が可能となる方式は「宮城歴史資料ネット方式」と言われ、全国にその手法が広がっています。その手法は、東日本大震災以降、大量の古文書を記録するために試行錯誤を重ね、今日の撮影方法に至ったものです。
この方式による古文書撮影は、バリアングルのカメラに28㎜~90㎜画角のズームレンズ(フルサイズカメラ換算)を装着し、三脚の雲台を逆さにして撮影します。三脚は開脚全高1550㎜のものを使用しており、足を伸ばし切って、最大広角で撮影しても、可能となる資料の最大寸法は奥行600㎜×幅900㎜が限界です。
今回はそれ以上大きな資料、例えば大形絵図面・古地図や軸物などを撮影する場合の秘密兵器について、それにたどり着く経緯を含めてご紹介します。
昨夏、出先での大型資料撮影の際、中形三脚(開脚全高1800㎜)の三つの脚をパイプ椅子に載せて、私自身は脚立に乗って撮影をしました(写真1)。これにより広くは撮れますが、その三脚の開脚幅以上は脚が広がりませんので、奥行きサイズは変化がなく、脚の先端が映ってしまいます。さらに開脚幅の大きい超大型三脚(開脚全高2300㎜)を使用すれば、この問題は解決しますが、海外製の高価なものになってしまうため現実的ではありません。そこで、ホームセンターにて水道管などの部材を購入し、それを駆使してアジャスターを製作しました(写真2)。合わせ込みなどで相当店員に怪しまれましたが、まずまずの出来になりました。この結果、奥行900㎜×幅1800㎜の大きさの資料がストレスなく撮影できました。
古文書のデジタル撮影は、デジタルカメラの普及と、資料レスキュー活動の展開とがあいまって活用の幅を広げ、その重要性が評価されています。しかし、撮影の方法論はまだ緒に就いたばかりであり、ちょっとした手造りの工夫によって、大きな改善に繋げることができます。(後藤三夫)

                     写真1

                     写真2