「古文書新サークル」を始めました(後藤三夫)
東北アジア研究センター主催の春季古文書講座受講生を対象に「古文書新サークル」が結成されました。その初級古文書講座を、川北合同研究棟会議室を会場に、本年8月から隔週1回のペースで開催しています。
参加者は春季古文書講座の受講者ですので、単なる解読会ではなく「古文書」を考える講座にしました。概論編では「ことばと文字の発生」の萌芽期から、文字の原点とされる万葉仮名を学習し、平安時代の文字の和様化の大成から中世の各書流派の誕生を経て、近世に全国くまなく使用された御家流くずし字に至るまでの文字の歴史を概観しました。古文書の種々ある特殊表現については、仙台藩の史料を多く織り込み具体的な解読実践を兼ねた形にしました。明治に入り一つの漢字や仮名に対して複数あった字形は非合理的と考えられ、利用すべき文字が統一されていきました。この「近代化」によって失われたものを考えることで、「古文書」は、単なる情報伝達のツールではなく、感性的な美意識や芸術性も含まれることも認識する必要があることを学んでいただきました。また、古文書レスキューの初動から研究活動による社会貢献に至るまでの工程について映像を交えて紹介しました。こうした紹介を通じて、古文書に一層の愛着を感じていただいたようでうれしかったです。
10月からは具体的文書の解読実践に入ります。江戸時代の禁裏御用の薬功書と、仙台藩画人菅井梅関が好んだ旧蹟を詠った古歌を中心に解読していきます。歴史事象を都度深掘りし楽しく過ごせる講座を目指しております。