7月5日、川崎町で講演会を開催しました

7月5日(土)、宮城県柴田郡川崎町の川崎町山村開発センター3階ホールにて、公開講演会「川崎のほこり~ふるさとの歴史と文化~」を開催しました。主催は上廣部門・川崎町教育委員会・宮城資料ネットです。近年川崎町で進められてきた歴史資料調査の成果をわかりやすくお伝えし、郷土の歴史について地元の皆様と共に考える機会をもちたいとの思いから、開催させていただくことになりました。
講演では、最初に仙台市史編さん室長の菅野正道さんが「笹谷街道沿線の戦国志~砂金氏の動向を中心に~」と題して講演されました。川崎は、仙台と山形を結ぶ街道として重要であった笹谷街道の要衝でした。戦国時代にこの地域を治めた砂金(いさご)氏は、この街道交通を押さえることで経済基盤を確立しており、その居城であった県内屈指の山城前川本城(もとじろ)は、伊達政宗が最上氏との争いにおいて兵站基地として整備した可能性が見出せるというのです。戦国期の川崎地域の情勢について、新たな見解を提示する講演でした。
続いて、部門助教の高橋が「江戸時代の青根温泉―湯守佐藤仁右衛門家の古文書から―」と題して講演しました。2012年から3度にわたり、町内の青根温泉佐藤仁右衛門家文書の調査が実施されました。高橋は本調査に参加する機会を得、その後古文書の解読に取り組んできました。本講演では、入湯料徴収や温泉税上納、共同浴場の実態など江戸時代の青根温泉の運営状況を紹介すると共に、温泉管理人の湯守を務めた佐藤家の交流関係の分析や飢饉時の佐藤家の活動分析から、江戸時代の温泉がいかにして成り立っていたのか、その一端を明らかにしました。今後も古文書解読を継続し、江戸時代における温泉の等身大の姿を浮き彫りにしていきたいと考えています。
講演会当日は時折小雨の舞う天候でしたが、約200名の来場者に恵まれました。足元の悪い中お越しくださり、講演をお聞きくださった皆様に心より御礼申し上げます。また、講演会に先立ち、学生を含めた仙台から参加したメンバーで前川本城の見学会を行いました。壮観な戦国期の城跡を実際に見学することで、講演内容の理解も深まったように思います。ご案内くださった川崎町の方々にも感謝申し上げます。今後も古文書調査等、歴史を通じた活動で、町の皆様とのつながりを持ち続けていきたいと思います。

川崎のほこり~ふるさとの歴史と文化~

巡見での記念撮影

川崎のほこり~ふるさとの歴史と文化~

講演会のようす