2018年度東北大学夏季古文書講座を開講しました。
2018年8月20日(月)から24日(金)の5日間、「東北大学夏季古文書講座」を実施しました(【主催】歴史文化資料保全の大学共同利用機関ネットワーク・東北大学拠点 【企画】部門、講師:荒武賢一朗)。この講座は、学生・大学院生を対象に東北地方の歴史資料を調査・研究する人材の育成、今後の歴史資料保全やその活用を積極的におこなう環境作りを目的とした集中講義です。
今回の受講生は学内・学外からの応募者4名(学生3・院生1)、東北大学日本語教育特別課程で学ぶ留学生3名(韓国・イスラエル・コロンビア出身各1)、特別参加の東北大学教員・研究員3名、合計10名でした。講義では初めて学ぶ学生にあわせた古文書の「イロハ」から始まり、江戸時代の東北地方(宮城、秋田、山形)に関する歴史資料を解読する学習をおこないました。最初は文字そのものが読めないという段階から徐々にくずし方の特徴をとらえ、最終的には文章の内容理解まで到達するという5日間でした。短期集中の講座は予習・復習で多くの時間をとられますが、指導する立場からその成果は目に見えてわかります(最終日には試験も実施)。
8月22日(水)には、受講生たちとともに宮城県白石市・柴田町の巡見に出かけました。白石市では、「ギャラリー アル・スィラージュ(古代オリエント:ランプの博物館)」や白石城を見学し、白石市教育委員会・白石市図書館において地域の歴史資料保全に関する活動や資料保管の様子などをご教示いただきました。また、柴田町の「しばたの郷土館<思源閣>」では企画展「炎の時代から見た戊辰の役」が開催中で、柴田町の歴史・民俗、さらには戊辰戦争の地域的特質を学ぶことができました。いずれも講座のテキストと関係が深い資料を閲覧でき、古文書解読と「本物の史跡・資料」を重ね合わせることができたと思います。地域で活動されている学芸員の皆さんから大きな学術的刺激を得たことも収穫でした。
歴史資料を大切に守っていくことが私たちの使命でありますが、まずは資料に何が書いてあるのか、読んでみるとおもしろい、そして研究してみよう、という順序の第一歩として本講座があります。将来を担うみなさんにこれからも勉強を続けて欲しいと願っています。
ギャラリー アル・スィラージュ(渡辺信男館長の展示解説)
白石市図書館(櫻井和人氏から所蔵資料について指導を受ける)